それらすべてが愛になる
 「えっと、説明すると長くなるんですけど…」

 立ち聞きの部分は伏せて、フロアに戻る途中で倉科課長に相談を受けてからのことをかいつまんで話す。

 清流としてはフラフラとサボっていたわけではなく仕事の一環なのだと納得してもらえる説明をしたつもりが、洸の眉間にはますます皺が刻まれ、雲行きが怪しくなっていった。

 「はぁ、何で他所の部署にまで首突っ込んでるんだか」

 少し前まで清流のコミュニケーション能力を評価していたことも忘れて、洸は顔をしかめる。

 「すみません、でも困ってたみたいなので」

 「それはいいとして何か忘れてるだろ?」

 (…忘れている?)

 「ヒント一、今日は金曜日。ヒントに、昼休み明けの午後一時半」

 頭の中で清流も復唱して、あっ、と思い出した。

 「週次ミーティング…!!い、今って、」

 腕時計を見ると開始時刻から十五分も過ぎている。

 「ご、ごめんなさい!あの、忘れてたわけではなくて、いや忘れてたんですけど…」

 どうして今の今まで忘れていたのだろう。
 未知夏とのランチでは今日のミーティングのことも話題に出ていたし、共有したいこともまとめてあったのに。

 戻ったら課のメンバーにも謝らなければ。
 弁解のしようもなく沈んでいると、ちょうどコーヒーが出来上がった音がした。

 「本当にすみません、もしかして戻ってこないから探しにきてくれたんですか?」

 「まぁそんなところ。とりあえずコーヒー出してきたら?終わったらここに戻ってくること、いいな?」

 「はいっ」

 清流は人数分のカップにコーヒーを注ぐと、多めに入れたスティックシュガーの入れ物とともにトレイに乗せて応接室へと向かった。

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