それらすべてが愛になる
 「ご苦労様」

 「はい…あの、ミーティングの方は?」

 コーヒーを出し終えて給湯室へ急いで戻ると、洸が壁に寄りかかったまま清流へと顔を向けた。

 「俺もこの後は会議だから午後四時からに変更」

 給湯室の中で片付けをしていると肩をぽんと叩かれる。振り返ると、打ち合わせを抜けてきたらしい倉科だった。

 「工藤さん、色々とありがとう。迷惑をかけたな」

 「あ、いえ」

 「本当ですよ、許可なく部下を勝手に使わないでくれます?」

 洸の棘のある言い方に、清流はヒヤッとして思わず顔を見上げる。

 「あぁ悪かった。でもあの人がコーヒー好きだとよく知っていたな、お陰で助かったよ」

 「あ、それはたまたまなので気にしないでください」

 わざわざお礼を言いにきてくれたのだろうか。
 軽く手を上げてまた応接室へと戻っていく倉科を見送る。隣に立つ洸は、まだ不機嫌なままだ。

 「あの、勝手なことしてすみませんでした」

 「工藤は頼まれただけだしそれはいいって…いや、よくないな」

 聞こえてきた不穏な言葉におそるおそる様子を伺うと、思っていたほど洸の表情は険しくなかった。
 が、次の言葉に目を丸くすることになる。


 「明日の土曜日、休日出勤申請しておけ」

 「………はい?」

 洸は一転して悪戯を思いついた子どものような、楽しげな笑みを浮かべていた。

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