それらすべてが愛になる
 清流は言葉のチョイスを間違えたのだと、さらに弁解を言い連ねようとしたとき、右の頬を持たれてぶにっと潰された。

 「痛っ!?あの、その急にほっぺたつまむのやめてもらいたいんですけどっ、」

 「……いったん休憩。今の状態じゃやっても頭に入んないだろ」

 何か飲み物でも淹れてくる、と洸は立ち上がった。
 おそらく給湯室へ行くのだろう。それなら自分がと言うも断られてしまい、清流に背を向けて行ってしまった。

 自分のために時間を作ってくれたのに、やる気が無いのかと失望されたのかもしれない。

 落ち込む気持ちでドアの向こうへと消えていく背中を見つめて、一点に目が留まる。

 (……加賀城さんの耳、赤い?)


 なんで、と思って自分の発言を思い返して、だんだんと顔が熱くなってきた。

 洸の声が心地良くて子守唄みたいなんて、聞き惚れていましたと白状したようなもので、ましてや録音して持ち歩きたいなど、一歩間違えればかなり危ない人の発言ではないか―――

 ようやく自分がとてつもなく恥ずかしいことを言ったことを自覚して、清流は脱力してデスクに突っ伏した。

 (確かに今の状態じゃ覚えるどころじゃないかも…)

 腕の間に顔を埋めて、深呼吸を一つ。

 洸が戻ってくるまでに熱くなった顔を冷まそうと、冷たいデスクに頬を押しつけた。

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