それらすべてが愛になる
 しばらく時間が経つと、頬の熱が引いてきた。
 一度活を入れるように頬をパチンと叩く。

 それから程なくして洸が給湯室から洸が戻ってきた。

 「ほら」

 「すみません、いただきます」

 お礼を言って緑茶の入ったペーパーカップホルダーを受け取ると、温かいと思いきや冷茶だった。

 「わ、すごくいい香りですねこのお茶」

 「ん?あぁ来客用の棚から取ったから良いやつだと思う。これくらい休出の特権だ」

 「ふふ、やっぱり良いお茶の葉で淹れると違うんですねぇ」

 美味しいお茶に気持ちが和む。

 「そろそろ続きやるか」

 「はい!」

 今度は目を閉じないよう心の中で気合いを入れ直して、中断していた勉強会が再開された。


 それから約二時間後。
 清流最後のページの書き込みを終えると、開放感からぐったりと椅子にもたれかかった。

 「つ、疲れた……」

 思わず漏れ出た心の声に、洸はニヤリと笑う。

 「子守唄なんていう余裕もなかっただろ」

 「結構根に持ちますよね加賀城さんって…」

 清流は少し口を尖らせて、びっしり書き込んだ資料を見る。

 再開後の洸の教え方は容赦がなかった。
 ただ用語を説明するだけでなく、すでに終わった数ページ前のことを突然テストのように出されたりするので気が抜けない。

 加えて用語の説明だけでなく補足として話された内容の方が重要なことも多く、それを聞き逃さないようついていくので精いっぱいだった。正直これらが頭に入ったとは言いがたい。

 「でも、これで昨日の件は帳消しになりましたか?」

 「何のことだ?」

 「え、昨日私がミーティングをすっぽかしたからじゃないんですか?」

 てっきりそのことへの罰的な意味合いで、休日の勉強会になったのだと思っていた。

 すると洸は、今気づいたというような顔をしてから、口角を上げる。

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