それらすべてが愛になる
 「違う、本題はここから」

 「ほ、本題?」

 まさかまだ勉強会は続くのだろうか。
 さすがにもうキャパオーバーで、これ以上何も頭に入らない。

 洸は慄く清流を面白そうに眺めながら時計を確認する。

 「ちょうどいい時間だな」

 そう呟くとパソコンの電源を落とし、さっさと帰り支度を始めた。

 「清流も片付けろ、そろそろ行くぞ」

 「え、行くってどこへですか?」

 「どこって、休日出勤デート」

 「デッ…!?」

 絶句する清流をよそに「言ってなかったか?」と嘯くが、その表情は明らかに清流の反応を楽しんでいる。

 「前に、休みの日に外で一緒にいるところを誰かに見られたくないって言ってただろ。でも今日なら、たとえ会社の人間にあったとしても言い訳できる」

 「え、まさかそのための休日出勤だったんですか?!」

 「そう、普通に誘っても清流はついて来ないだろ」

 だから強制、と悪戯っぽく笑う。

 確かにスーツ姿の洸とオフィスカジュアルにバッグを持った清流が並んでいたら、このオフィス街でならほぼ間違いなく仕事帰りに見えるだろう。

 家ではなくオフィスに出社した理由とも繋がった。

 (だからって、普通ここまでする…?)

 洸の突拍子のない言葉に面食らっていたけれど、最近はそれにもだいぶ慣れてきたと思っていた。

 でもこの展開は予想の斜め上すぎる。


 「天気もいいし休日出勤デート日和だな」

 「言葉が相反している気がするんですけど…あ、でも槙野さんは?」

 「とっくに帰らせてる」

 「そうですか……」

 どんなに憎まれ口を叩いても自分に拒否権はない。
 諦めて清流も荷物をまとめると、並んでオフィスを後にした。

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