それらすべてが愛になる
 「素敵なお店でしたね」

 「店主はなかなかお喋りだったけどな、次はどこ行く?」

 そう言って辺りを見回している洸は、それだけでも目立つというのか、存在感がある。洸へと注がれる周囲からの視線を清流も感じて、先ほどの店主の会話が頭をよぎった。

 「どうした?」

 「あ、いえ何でもないです」

 彫りの深い顔立ちと髪や目の色素の薄さから、何となく外国の血が入っているのかと思っていた。けれどそんな個人的なことを、この場で簡単に聞いていいものなのだろうか。

 「もしかしてさっきの話?いいよ、遠慮しなくて」

 口ごもった清流の様子で察したらしい洸が、自分から水を向けた。

 「…あの、加賀城さんって日本生まれなんですか?」

 「そう。ただ母親はフランスの血が入ってる。もっと遡るとスウェーデンとか南米にもルーツがあるらしいけど。ちなみに父親は純日本人」

 日本にフランス、北欧に南米と頭の中で世界地図を辿りながら、想像していた以上にグローバルで純粋に驚く。

 「もう何分の一とかよく分からないし、俺がハーフじゃないっていうのは本当だから、初見の人にはああやって適当に返してる」

 「そうだったんですね」

 初めて聞くと驚くけれど、海外では珍しいことではないのかもしれない。

 「じゃあ親戚の方がフランスにいたりするんですか?」

 「母方の親戚が今も住んでる。子どものころは夏休みによく行ってたな」

 清流はふと、家族や親戚に囲まれる洸の子ども時代を思い描く。
 それはとても温かく、優しい情景だ。

 洸の内側から出る眩しさや自信といったものが、それらで裏打ちされているのだと思った。

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