それらすべてが愛になる
 そんなことを考えていると、清流を見る洸の目に笑みが浮かんでいる。

 「少し興味が出てきた?俺のこと」

 「え?あ、いえ別に深い意味があるわけじゃ、」

 「へぇ、深い意味って?」

 「だから何でもないです、次行きましょうっ」

 これ以上話していたら墓穴を掘りそうだ。
 からかう視線から目を逸らしてあてもなく歩き出すも、すぐに隣りに追いつかれる。

 「じゃあ、今度は清流の番」

 「えっ、私ですか?加賀城さんが知っている以上の話はないですよ」

 家族構成はすでに洸も知っている通りだ。
 それ以上に、あまり話せることは多くはなかった。

 「それだけじゃなくて…何でもいい、清流の個人的なこと」

 「個人的なことって、例えば?」

 「好きなタイプは?」

 「何か趣旨違いません?!」

 軽い調子なので、どこまで本気か分からない。

 「気になるだろ、婚約者としては」

 だから婚約者じゃない――そう返しても軽く流されるまでがお決まりのやり取りになりつつあって、清流はその言葉を飲み込む。

 何か答えない限りこの追及は終わらないだろう。
 清流は少し立ち止まって考えを巡らす。

 そして浮かんだ一つの答え。


 「……人として尊敬できる人が好きです」


 想定外の答えだったのか、洸は少し目を見開いた。
 清流は我に返って、途端に恥ずかしくなる。

 (うわ、私ってば何で真面目に答えているんだろ…)


 「あ、あそこにチーズの専門店がありますよ、見てもいいですか?」

 正直何のお店でもよかった。
 洸の視線から逃れるように、とりあえず目についたお店へと小走りで向かった。


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