それらすべてが愛になる
 適当に入ったチーズ専門店の品ぞろえが豊富で、思いのほか長居をしてしまった。

 その後は、試食させてもらった手作りお惣菜のお店でラザニアとサラダを買い、雑貨屋を見て回ったりしていると、気がつけば日が傾き始めていた。

 「あー、もっと買い物したかったですねぇ」

 「買えばよかっただろ」

 「オフィスバッグもあるのにこれ以上は持てないですよ」

 「それなら、」

 「電話で槙野さんを呼ぶのはダメですからね?」

 「バレたか。まぁいい時間だし、そろそろ帰るか」

 軽口を言い合いながら、出口へと向かう人の流れに乗って清流たちも歩く。

 (……あっ、)

 その途中で、一軒の花屋が目に留まった。

 「花買うのか?」

 「……はい、部屋に飾ろうかなと思って」

 青いオーニングの下には色とりどりの花が並んでいる。

 閉店間近なせいか、サービスしますよと店員がにこやかに声を掛ける。
 どれにしようか目移りしつつ、淡いオレンジ色のトルコキキョウを選んだ。

 今の季節なら手入れをすれば三週間ほど持つと聞いて、清流は詳しい手入れの仕方を聞き栄養剤も購入することに決める。

 包装紙で包んでもらうのを待つ間に店内を見ていると、奥には枝ものや観葉植物などグリーンのコーナーもあった。

 「そういえば加賀城さんの家って、緑がないですよね」

 初めてマンションを訪れたときの、何かが足りないと感じた印象を思い出す。
 清流の母も叔母の佐和子も植物が好きなことは共通していて、実家では常に何かしらが飾られていたせいかもしれない。

 「前は観葉植物があったんだけどな。家を空けることが多くて結局枯らしたから、それ以来置いてない」

 「確かに出張多いですもんね。あ、ハーブの鉢植えとかならどうですか?このサイズなら大きくないですし、育てればお料理にも使えますよ」

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