それらすべてが愛になる
 「でもいいの?」

 「……何が」

 「清流ちゃんのこと好きなんじゃないの?」

 未知夏は清流が当事者だとは知らない。
 だから、清流ではない誰かと結婚してもいいのかと聞いているのだと理解できる。

 だが、どうしてそういう結論に達したのか洸には分からなかった。

 「……俺が、工藤を?」

 「はぁ…あれだけ態度に出しておいて自覚なしなわけ?これだから言い寄られるだけの人生で、恋愛偏差値が底辺の男は始末に負えないのよね」

 散々な言い草だなと思いつつ、前半はあながち的外れでもないから癪に障る。

 「あいかわらず性格悪いな」

 あら心外だわと嘯くが、浮かべている表情は言葉とちぐはぐなのがまた腹立たしい。

 彼女に言わせれば、清流にかける言葉や態度、気の使い方などを見れば一目瞭然だという。
 おそらく加賀城洸という人間は、ひたむきさや努力といったものだけで他人を認める性格ではない、と言いたいのだろう。

 「勘ぐりすぎだろ」

 言うなれば単なる同情と、少しばかりの好奇心。

 それ以外に何がある?


 「あっそ。自覚してないならそれでもいいわ。でも、気持ちは言えるときに言わないと後悔するわよ」

 未知夏は紙コップをゴミ箱に投げ入れると、じゃあねと言って休憩スペースを出ていった。


 ―――言えるときに言わないと後悔する。


 その言葉の意味をのちに身をもって思い知ることになるが、そのときにはもう何もかもが遅かった。

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