それらすべてが愛になる
 ◇◇◇◇

 「あぁ、疲れた…」

 洸は、二日ぶりに帰ったマンションに足を踏み入れると、ソファーにどさりと沈み込むように腰を下ろした。

 緩めたネクタイを無造作に放り投げる。
 ちょうど肘掛けに嫌われてスルリと床へ落ちるのを目の端に捉えながらも、体が重くて拾う気にもならない。

 普段ならその辺りに脱ぎ散らかしたりはしないが、清流が帰ってくるのは明日の土曜の夜だ。


 週の後半は珍しくスケジュールにもゆとりがあったはずが、連日トラブルに見舞われた。

 極めつけは経理の出してきた実績ベースのシミュレーションに重大なミスが見つかり、それをベースに経営企画で作った要因別のシミュレーションがすべて作り直しになったことだ。
 収益の累積予想推移があり得ない下降線を辿っているのを見たときは、久しぶりに血の気が引いた。

 (人数が足りていないときに限って、見計らったように起きるんだよな…)

 清流がいる日常に慣れてきたのはメンバーも同じだったようで、舞原などは『清流ちゃんいつ戻ってくるんですか』なんて泣き言を言い出す有り様だった。


 洸は目頭を押さえてから、ゆっくりと目を開ける。
 腕時計の針は午前三時半を指していた。

 舞原たちは、始発が動くまで朝までやっている居酒屋で飲み明かすと言っていたから、今頃はああだこうだと愚痴を言い合っているのだろう。

 部長もどうですか?と誘われたが、それよりも今日は早く横になりたかった。

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