それらすべてが愛になる
 一息つくとさすがに空腹を感じて、何か食べようかと冷蔵庫に目を向ける。

 『冷凍だから日持ちするので、食べ切れなくても全然大丈夫ですから気にしないでくださいね』

 そう言って、研修へ行く前日にいくつか作り置きのおかずを作って冷凍してくれていたが、気づけばそれも食べ切ってしまっていた。

 他に何かあっただろうかと考えるも何も思い浮かばない。
 心身の疲労は確かに蓄積している。

 いっそ緊急だといって呼び戻せばよかった。
 そんな上司としてあるまじき考えが浮かんで自嘲する。

 (そういえばスマホ見てなかったな)

 スーツのポケットに手を突っ込んで取り出すと、一件の未読がある。

 約束通り、清流からは夜に一日の報告連絡のメールが届いていた。

 初めはその日の研修内容やその感想なども添えられていたが、だんだんとその内容も簡素になっていき、やはりグループの調整役として苦労している様子が垣間見えていた。

 『ワークショップ、全体の二位でした。明日帰ります。おやすみなさい』

 そして、猫が笑ったスタンプが一つ。

 おめでとうとか頑張ったなとか何か打とうとするも、文字にすると味気ない気がして、打っては消してを繰り返す。

 トラブル対応中は気が張り詰めて頭が冴える半面、その反動で今は思考がまとまらない。

 (…早く帰ってこい)

 そんな取り留めのないことを考えているうちに、うとうとと意識が遠ざかっていった。

< 149 / 259 >

この作品をシェア

pagetop