それらすべてが愛になる
 「ああああのっ!こ、これはどういう、」

 「…この前のお返し。一昨日は徹夜だし昨日も午前帰りで疲れてるんだよ、しばらく体貸せ」

 この前っていつの話だろう?
 そんな疑問がよぎりつつも、今は洸が喋るたびに近くで息がかかってくすぐったい。清流は背筋に痺れる感覚を覚えて、これはまずいと頭の中で『私は抱き枕抱き枕…』と無心で唱える。

 「……さすがに腹減ったな」

 「え、もしかして昨日食べてないんですか?」

 「食べる気がしなかった。作り置きもなくなったし」

 「え、あれ全部食べたんですか?加賀城さんが?」

 暗示の効果は呆気なく切れた。

 (絶対に、余ると思ってたのに)

 そんなことならもっと作っていけばよかったなと思いながら、頬が自然と緩むのを抑えられない。

 「だから、今日は何か作ってくれ」

 「それは私の手料理が恋しいという解釈でよろしいでしょうか?」

 「俺を揶揄おうなんて百年早い」

 冷静になれば死ぬほど恥ずかしい状況のはずなのに、たわいのない会話を重ねているとだんだんと感覚が麻痺してくるのか、軽口も言えるようになってくるから不思議だ。自分もだいぶ疲れているのかもしれないと思う。

 「この時間だとお昼ごはんですね。
 うーん、シチューやグラタンは暑いですよね…あ、クリーム煮かクラムチャウダーならどっちがいいですか?あとはバゲットとサラダをつけて」

 「クラムチャウダー。って、何かチョイスが偏ってねえ?そんなにカルシウム不足に見えてるのか?」

 抗議の視線を感じて、清流は急いで首を振る。

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