それらすべてが愛になる
 「違いますよ、よく眠れるようにです。牛乳って睡眠に効果があるんですよ、あとはサラダにレタスを使えばばっちりです」

 ほら、と洸の目の下を指さす。

 「ここ、クマができちゃってますし。ごはん食べたらソファーじゃなくてベッドでゆっくり休んでくださいね」

 顔の彫りの深さと元の肌色のせいか、薄いクマでもやや目立っている。

 けれど、間近で見る肌はとても綺麗だ。
 たまに男の人で、しっかり手入れしているわけでもなさそうなのに素で綺麗な人がいるけれど、一体どうなっているのだろうかと清流はまじまじと見つめてしまう。何だか羨ましいというよりも恨めしい。

 「なあ」

 「はい?」

 「清流の好きな料理って何?」

 「え?急にどうしたんですか?」

 きょとんと見上げると、洸は口角を少し上げて笑った。

 「いつも作ってもらってばっかだから、今度俺が清流の好きなもの作ろうかと思って」

 「つ、作る?加賀城さんが??」

 最近の洸は、時間が合えば野菜の皮を剥いたりパスタを茹でたりと、一緒にキッチンに立ってくれている。が、前に聞かされた衝撃的なエピソードを思い出すと、喜ぶというより困惑してしまう申し出だった。

 「えっと、ありがとうございます、でも気持ちだけで十分ですよ?」

 「…明らかに俺にやらせたら大惨事になると思っているだろ」

 清流の配慮はあっさりと見抜かれて、軽く背中を小突かれる。
 どうやら本当に好きなものを言わないと、この押し問答は終わりそうにない。

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