それらすべてが愛になる
 「……どうしてなんだ?お前だって、初めはあんなに喜んでたじゃないか。なぜこんなことをする必要があったんだ?」

 久志の問いかけが聞こえているのかいないのか、佐和子は何も答えない。

 洸もなぜこんな手の込んだことをする必要があったのか、初めは不思議だった。
 結婚させたくないのなら、そもそも洸が結婚話を持ち掛けたときに拒否すればいいものを、あのときの佐和子はこちらが辟易するくらいに積極的だったのだ。


 「理由は、お金なのでは?」

 佐和子の肩がピクリと小さく震える。

 唯崎を使って調べさせたところ、会社の業績は十年前を最後にずっと下降線を辿っていた。さらに担当の会計士を詰めたところ明らかに使途不明な入出金も見られるという話だった。おそらくキャッシュもほとんどないのだろう。

 「佐和子、加賀城さんの言うことは本当なのか?」

 「ご存じありませんでしたか?あなたも一応経営に名前を連ねているのでは?」

 「それは…佐和子には、元は私の姉夫婦の会社なのだからあなたに首を突っ込む資格はないと言われて…何となく芳しくはないんだろうと感じていましたが、でもこの家の建て替えもできましたし、それほど困ってる感じもなかったのでてっきり大丈夫なのかと」

 洸はしどろもどろに答える久志を呆れた目で一瞥した。

 「これはうちの部下が調べた佐和子さん個人の資産状況です。時間がなかったので数年分しか遡れませんでしたが、借金を繰り返しているんですね」

 「…っ!!勝手になんてことを!」

 唯崎が調べた資料を見せると、佐和子は途端に激高した。

 「ええ、調べさせていただきました。どうですか、他人に過去を勝手に調べ上げられて暴かれる気分は?」

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