それらすべてが愛になる
 佐和子は聞き分けのいい娘として、両親の希望通りの道を進み、短大を卒業してすぐに、地元でそこそこ良家の縁談を受け、早乙女家の次男の久志と結婚した。

 そのときまでは、佐和子はそれなりに充実した日々を過ごしていた。


 風向きが変わったのは、早希子が海外先で出会った男性、工藤哲人(くどうてつと)を連れて帰国し、結婚してからだ。

 二人は現地で同じ従事していており、帰国してから哲人は途上国の環境問題に役立つ事業がしたいと、東京で会社を立ち上げた。
 会社の事業が軌道に乗りしばらくして一人娘の清流が生まれると、あれだけ早希子たちを非難し距離を置いていた両親の態度がすっかり変わった。

 『あの子は都会に出たほうが成功する子だと思っていたの』

 『初孫が生まれたのよ!本当に親孝行な娘で』

 その頃から、佐和子は少しずつ買い物で散財するようになる。

 買い物をしているときは、一時的に嫌なことが忘れられた。

 ただ地元ではあまり派手に買い物をしていると目につくので、次第に通販やネットショッピングにのめり込み、それが手元に届くと佐和子の中の満たされない何かを満たしていった。

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