それらすべてが愛になる
 佐和子の実家や早乙女家との縁をあたると、とある資産家の令息が結婚を切望していることを知った。

 相手は四十を過ぎても結婚していない息子を心配していたが縁談も断られ続けており『受けてくれるならそちらの望みの額を包む』という言葉に、佐和子は了承した。

 ちょうどこの頃には、佐和子の買い物の支払いの借金が膨れ上がっていて、どうしてもまとまったお金も必要で、ともに利害が一致したのだった。

 『分かるでしょう?今会社が大変で、うちにはお金が必要なの。あなただって、どうしても大学に行きたいんでしょう?難しく考えることはないの。お金は愛で買えるしお金は愛で買えるのよ。

 あちらはあなたとの結婚をとても望んでいるわ。それは会社を継ぐことなんかよりとても幸せなことなのよ。これは清流のためなの』


 大急ぎで清流との縁談を組み、縁談を受ければ大学進学のお金は出すと納得させ結婚させた。

 相手は佐和子たちの地元の資産家。
 そこから東京の大学に通うのは二時間半近くかかる。

 長距離通学に勉学、さらに結婚生活の両立などできるはずがない。

 遅かれ早かれ清流は大学を辞めることになる。
 あの子は自分にはなんのゆかりもないあの地元で、『◯◯さんの奥さん』として暮らすことになる。かつての佐和子のように。

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