それらすべてが愛になる
 「加賀城さんはどうして新潟に…あの場所にいたんですか?私の実家は東京でしたし、父の故郷の話はしたことなかったと思うんですけど」

 隣りに座る洸を窺うように見上げる。

 「あぁそれは…昨日清流の実家で聞いたから」

 「え、実家っ?行ったんですか?」

 どうして、と清流が聞くよりも先に洸が口を開いた。
 昨日会ったことをありのまま話す必要はないと判断して、これまでの話をかいつまんで説明する。

 氏原の件は唯崎たちが突き止め、もう心配はいらないこと。
 叔母の佐和子がこれまでしていたことの数々と、それらが清流の過去にも大きな影響を与えていたこと。

 どれも初めて聞くことばかりで、清流はしばらく呆然としてしまった。


 「……そうですか、全部、叔母さんが…」

 思えば、一度目の結婚の後も、実家に援助をしてもらうよう頼んでくれないかといった連絡が何度かきていたことがあった。

 叔母たちが暮らす東京の家はもともと清流の両親が建てた家でローンもなかったので、いくら会社の業績がよくないとはいえそこまでするほどお金がないのか、と不思議だった。

 毎回「分かった聞いてみる」とだけ言って終わっていたけれど、その頃から佐和子は借金をし、家のお金にも手を付けていたのかもしれない。

 「……大丈夫か?」

 「はい、驚きましたけど…何だか納得してしまう部分もあるというか……」

 (そうか…そうだったんだ)

 もちろん内容はショックで、信じられない、信じたくない部分もある。
 でもそれと同時に、妙に吹っ切れた気持ちもあった。


 そして、清流にはそのことよりも、もっと胸につっかえていることがある。


 「あの、加賀城さん、あの手紙全部読んだんですよね?」

 「あぁ……読んだ。でも、そのことはもう、」

 「よくないです」

 洸は優しいから、きっとすべて水に流してくれようとするだろう。

 でも、それではだめだと思う。


 「ちゃんと、話しておきたいんです」


 そのために戻ってきたのだから。

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