それらすべてが愛になる
 「ごめんなさい…」

 「清流は悪くない。俺が…もっと早く自分の気持ちと向き合って、ちゃんと話しておけばよかったって後悔した」

 そう打ち明けてくれる洸は、少しきまりが悪そうな顔をしている。

 「榊木の言ってた通りだったな。言えるときに言わないと後悔するって、今回のことで学んだわ」

 穏やかに微笑む洸を見上げながら、清流は胸がぎゅっとなった。

 「あの、ずっと気になってたことがあるんですけど」

 「ん?」

 「うちのお墓の場所を叔父さんたちに聞いたことは分かったんですけど、そもそもどうして私がそこに行くかもしれないって思ったんですか?」

 今日、もう正確には昨日だけれど、あの場所で洸からのメモを見つけたときには本当に驚いた。

 「んー…内緒」

 「えぇ?」

 清流があまりにも不満げな声を出すので、洸は少し宥めるようにして体を離す。
 そして、思いついたようにベッドサイドの引き出しから何かを取り出して戻ってきた。

 「手、出して」

 「はい?」

 差し出した手のひらにチャリンと置かれたのは、マンションの鍵だった。

 「あ…」

 「それがヒント」

 そう言われて考えてみても、寝起きの頭ではすぐには繋がらなくて疑問符でいっぱいになる。

 「俺からも一つ聞いていい?」

 今度は洸から問いかけられて、清流は頷いた。

 「はい、何ですか?」


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