それらすべてが愛になる
 「今日までどこに行ってた?清流が両親の墓参りに行くかもしれないって分かったのが遅かったから、もしかしたらすれ違いかもしれないと思ってた。だから半分賭けだった」

 「えっと……イ、イタリアに…」

 「……イタリア?って、あのイタリア?」

 「そうです」

 確かに初めは父の故郷である新潟に行こうと思っていた。けれど、駅に向かうタクシーの中でふと思い立って計画を変更したのだった。

 洸は呆気にとられたあと、何かを堪えるように清流の肩口に顔を伏せた。小刻みに震えているところを見ると笑っているらしい。

 「…そうだった、清流は変に行動力があって、そういう突拍子もないことを平気でするんだって忘れてた」

 「変って、これでもすごい覚悟して行ったんですから」

 もう洸に会うことはできないと思って、それなら最後に思い出を辿りたいと思って向かったのだ。

 でもその思いつきの行動のおかげでこうして再会できたのだとしたら、本当に人生って何が起こるか分からない。

 「あっ、」

 「どうした?」

 「結局、二回とも願い事叶っちゃいました」


 一回目は、またこの場所に戻ってこられますように。

 二回目は、もう一度洸に会えますように。


 コインに込めた願いは、すべて叶っていることに気がついた。


 「願い事って?」


 ずっと考えていた。
 やり直せるならどこからだろうって。

 けれど。

 過去をやり直さなくてもいいと思えること。

 そんなことをしなくてもいいと――それさえもひっくるめて自分がいいと言ってくれるこの人に、自分は何ができるだろう。


 「それは……内緒です」


 ふふ、と悪戯っぽく意趣返しをして、清流は不思議そうにしている洸の唇に自分からキスをした。



< 243 / 259 >

この作品をシェア

pagetop