それらすべてが愛になる

エピローグ

 それから月日が流れて新しい年を迎えて、暖かい季節が巡って来た頃。

 清流は自室で一人、叔父の久志から届いた手紙を読んでいた。

 久志からの手紙が受け取るのは二度目になる。

 一度目のときは返事を書くために便箋に向き合ったものの、何を書いたらいいのか考えがまとまらず『気持ちの整理がついたときに書けばいいんじゃないか』と洸からアドバイスされたことで、少しだけ気持ちが楽になった。

 そして結局返事は出せずじまいだったものの、こうして二通目の手紙が届いた。
 そこにはこれまで清流にしてきたことへの謝罪と、会社の今後や自分たちのこれからのことが綴られている。

 会社の経営は、清流の両親が会社を立ち上げた頃からずっと残ってくれていた役員の男性に譲り、現在は傾きかけた会社の立て直しを図っているということだった。

 会社の経営から退いた佐和子は一時体調を崩したものの、今は回復して会社の雑務処理を手伝っているらしい。
 そして久志は会社とは別に新たに仕事を始めて、二人で佐和子の借金や使い込んでいた会社のお金を少しずつ返していくとあった。

 久志からの手紙の最後には『いつか直接会ってきちんと謝罪をさせてほしい』と書かれている。

 ――もしかしたら、そろそろ返事を書けるかもしれない。


 そう思ったとき、部屋のドアがノックされる音がした。

 「清流ちょっといいか?」

 「はい、今行きます!」

 清流は読み終わった手紙を折りたたんで元通りに封筒に入れると、今はデスクの引き出しの一番奥にしまい込んだ。

 今日は、これから楽しいイベントが待っている。


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