それらすべてが愛になる
 「失礼します…」

 ドアを開けると、ちょうど洸が部屋から出てきて出迎えてくれた。

 「あ、やっと来たな。入れよ」

 淡いブルーのプルオーバーシャツに黒のボトムスというカジュアルな服装だった。
 今まで会っていたときは毎回スーツ姿だったせいか何だか見慣れなくて、目線が意味もなく行ったり来たりしまう。

 「高速混んでたか?」

 「いえ、大丈夫でした」

 そんな会話をしながらリビングへと続くドアを開けた。

 ―――広い。

 清流は見上げるほど高い天井を仰ぎながら内心呟いた。

 見上げるほど高い天井のリビングは、ゆうに四十平米以上はありそうだった。

 グレーアースやペール系の薄い色彩でまとめられた部屋。開放的な窓の向こうはテラスになっていて、その先に都心の街並みと青空がよく見える。

 「悪いな、このあとまだ仕事で時間があんまりないから、先に部屋の説明だけしておきたいんだけど」

 そう言いながらも片手でスマートフォンを操作している。本当に忙しそうだ。清流は着ていた上着を手早く脱ぐ。

 「すみません、お願いします」

 「ここが見ての通りリビング。俺が居ようが居まいが気楽に使っていい。言っておかないとずっと部屋に篭ってそうだからな、俺に気にせず好きに使え」

 「はい…ありがとうございます」

 こんな広すぎるリビングで寛げるだろうか。
 そんなことを思いつつ、意外なほど自分のことを気にかけてくれていることが少しだけくすぐったい。

< 46 / 259 >

この作品をシェア

pagetop