それらすべてが愛になる
 洸の後をついていくとリビング横のダイニング、そしてキッチンへと案内される。

 対面型のキッチンは、コンロと水回りがL字に配置されていた。作業する人が使いやすいよう動線が考えられて設計されているようで、すごく使いやすそうだな、とついじっくりと見てしまう。

 「キッチンなんて、そんなに変わらなくないだろ」

 「そんなことないですよ、作業スペースも広いですし、それにガスコンロが五口もあるなんて」

 「それがそんなに珍しいのか?」

 「私はバイト先の厨房でしか見たことないです」

 そんな溜息が出るようなキッチンは、コーヒーマシンとシンクに使い終わったグラスが置かれている以外は整然としている。
 あまり使われていないのだろうか、どことなく生活感がない。

 清流は部屋全体をぐるりと見回してみる。

 アースカラーでまとめられたインテリアのほとんどは備え付けらしく統一感があった。必要な家具も一通り揃っているので、機能的に十分すぎるほど充実している。

 だから、殺風景というわけではないのだけれど、何かが足りないような。

 (あ…もしかして、緑がないからかも)

 「おい、次行くぞ」

 「あ、はい今行きます!」

 清流は手に持っていた荷物を持ち替えて、すでに廊下へと出ていこうとしている洸を追いかけた。


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