それらすべてが愛になる
 それから佐和子は、洸が尋ねるより前にあれこれと話したがった。

 自分は清流の叔母であり、清流の両親が立て続けに亡くなって引き取ったこと。そのことで自分たちがどれだけ苦労したかということ。就職が決まらないなら、この結婚を機に自立して家を出てほしいこと。

 「本当にあの子には手を焼いているんですよ」

 「確か、大学を休学していたと聞きましたが?」

 「ええそうですけど、そんなの理由にはならないでしょう?そもそもあの子自身の能力が足りてないんです。大学受験のときもそう。私たちの反対を押し切って適性のない学部を志望して……結局特待生を取れずに、おかげでどれだけ私たちが苦労したか。休学したときにそのまま辞めてしまえばよかったものを」

 「…でも、ちゃんと卒業されたのは立派なのでは?」

 「私たちへの当てつけに、意地になって通い続けていただけですよ。結局何の役にも立ってないんですから」

 ともすれば顔をしかめそうになるのを、洸は適当に相槌を打ちながらどうにか堪えていた。

 ようやく分かった。
 こうして少しずつ、彼女の心は削られてきたのだと。

 結果が伴っても伴わなくても否定されるだけならば、人は期待しなくなる。
 相手にも、自分自身にも。

 おそらく昨日今日始まったのではないのだろう。
 こんな関係性が十年以上続けば、自分の価値など見いだせなくなっていく。

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