それらすべてが愛になる
 「食材の買い出し?」

 「はい、もう食材がほとんどなくて。この辺りって近くにスーパーとかありますか?」

 朝食の後、洸の言葉に甘えて二杯目のカフェラテを飲みながら尋ねると、少し考えながら視線を向けた。

 「マンションの近くだと、コンビニぐらいの小さい店舗しかないな。駅ビルの方が何でも揃っていると思うけど」

 「そうなんですね、食材買うだけならどうしようかな、、」

 「あれも買えば?何だっけフライ返し。オムライス作るのにいるだろ」

 「使うのはオムライスだけじゃないですけどね」

 そうなのか?と首を傾げる洸に苦笑する。
 それでも、また今度作ってほしいとリクエストされたのでフライ返しを買うことは決まった。

 どうやら駅ビルにはキッチン雑貨のお店も入っているようなので、そちらへ行くことにする。

 駅前ならマンションからもそんなに遠くない。
 それにこの周辺は清流の生活圏ではなかったので、しばらくここで暮らすことを考えると地理を覚えるにもちょうどいいと思った。

 「何時ごろ行く?」

 「この後は残ってる部屋の片付けを終わらせようと思ってるのでお昼前…十一時くらいでしょうか?」

 「十一時な」

 洸がスマートフォンで何やら操作しているので不思議に思い、仕事ですか?と聞くと槙野を迎えに来させると言う。

 「えっ、いや、呼ばなくていいですよ!」

 あと少しで発信ボタンを押しそうなタイミングで、清流は慌てて止めた。

 「何で?」

 「何でって、思いっきり私用で呼ぶのダメだと思いますっ」

 「槙野はもともと実家にいたときから専属運転手だし、社用以外は別で手当も払ってる。だから問題ない」

 「そ、そうかもしれないですけど、」

 買い出しのために休日に呼びつけるなんて。
 昨日だってわざわざマンションまで送ってくれたのに、また呼びつけるなんて申し訳なさすぎる。

 清流がどれだけ説明してもいまいちピンとこないようで、こういうところが育ちの違いというかセレブだな、と思わず遠い目になった。

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