それらすべてが愛になる
 マンションを出て、駅前までの道を並んで歩く。

 知らなかったのだが、駐車場には洸所有の車がもう一台あるらしく、自分が車を出すと提案してくれていたがそれも丁重に断った。

 今日は天気も良くて暖かい。
 梅雨が来る前の、一番爽やかなこの季節が清流は好きだ。

 最近会社の面接やマンションへの手続きなどで車や電車移動が多く、清流にとってはこうしてゆっくり外を歩くのも久しぶりだった。

 「でも、加賀城さんも運転できるんですね」

 昔から運転手付きの暮らしをしていたようなので、そもそも自分で運転をしない人なのかと思っていた。

 「普段はしないけど、休日にたまに一人でドライブくらいする」

 「ちなみに最近ドライブしたのっていつですか?」

 「三ヶ月、いや四ヶ月くらい前か?」

 「…次に車乗るときも、槙野さんに来ていただきましょうか」

 「どういう意味だそれ」

 洸が拗ねたように面白くなさそうな顔をする。

 暮らし始めて二日目だが、洸は意外と感情が顔に出ることを知った。

 これまでは洸の行動や言動に振り回されることが多く、洸が何を考えているか読めないことばかりだったので意外な発見だった。

 それに、少し子どもっぽい一面もある。

 「冗談です」

 「じゃあ今度な、助手席に乗せてやる」

 洸の提案は社交辞令だろうと思いつつ、清流はありがとうございますとお礼を言った。

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