それらすべてが愛になる
 満足そうに微笑んだ洸に、先ほどの店員が同じ作家で男性向けもあるとお薦めしてきた。

 色や柄は違うけれど作家が同じなだけあって、風合いはよく似ている。

 清流が選んだものよりも一回り大きめの物が並ぶ中で、洸はオリーブ色のマグカップを選んだ。
 相変わらず値段はまったく見ないので、皿も合わせて合計でいくらになっているのか清流は側から見ていて少し恐ろしくなる。

 「じゃあこれ、まとめてお会計お願いできます?」

 「はい、あちらでお伺いいたしますね」

 レジへと向かう途中、店員が清流の横へとやってきて

 「素敵な彼氏さんですね」

 と、清流にだけ聞こえる声で耳打ちをした。

 洸が良い人で素敵だというのは清流もそう思うし、否定できない。

 だからこそ不思議だった。
 どうして今ここにいるのが自分なのか。

 どう答えようかと一瞬答えに詰まって、清流も店員の彼女にだけ聞こえる大きさで、はい、と頷いた。


 洸が会計を済ませている間、清流はお店の外で待っていた。
 お皿にマグカップ、それから調理器具をいくつか。結構な買い物になったし、しかもすべて支払ってもらってしまった。

 せめて荷物持ちくらいは自分がやろうと思っていると、洸が紙袋を二つ持って戻ってきた。

 「はい、引越し祝い」

 小さな紙袋を渡されて中を見ると、綺麗にラッピングされてた箱が一つだけ入っている。

 「どうせ俺ばっかり荷物持ってたら、私にも持たせろって言うだろなと思って。だから清流はそれ、自分の分持ってて」

 「…ありがとうございます」

 (本当に何もかもお見通しだなぁ…)


 洸の顔を見ると、胸がぎゅっとなる。

 清流は、ざわざわする胸の内に気づかれないよう、気持ちを落ち着かせてから隣りに並んだ。

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