それらすべてが愛になる
 「夜はどうしますか?」

 おそらく部長の洸よりは清流の方が早く家に帰ることになりそうだが、夕食を用意してもいいものなのか。
 洸のような立場ならば、社内や取引先などの付き合いもありそうだと想像できる。

 「俺のことはひとまず気にしなくていい。
 それに清流自身も仕事が始まったら忙しくなるし生活ペースも変わるだろうから、慣れるまでは外で食べたり弁当買ったりでいいんじゃないか?うちの社食は夜の十時まで開いてるからそこでも食べられるし。
 どうしても作りたいとかならもちろん止めないしキッチンも好きにしていい。けど、無理だけはするな」

 清流が配属される経営企画課は、一人欠員が出てすぐに人員が欲しいくらい人手不足だと言っていた。
 ただ仕事量もそうだが、業務内容も社外秘のことが多く、初出社するまでは詳しく教えてもらえていない。

 社会人経験も初めてになる自分がどこまでやれるのかまだ見えない中で、何もかもやろうとするのは難しいのかもしれない。

 「そうですね、まずは仕事を覚えたりするのが第一ですし、ペースが掴めるようになるまではそうします」

 まだ今日なら空いた時間で作り置きおかずを作ったりはできそうだなと思い、いくつかおかず用の材料を選んでいく。

 「あのさ、気になってたんだけどいつまで『加賀城さん』呼びなんだ?」

 「え?」

 ランチのサラダに入れようとアボカドを吟味していた手が止まる。

 俺は前から清流と呼んでいるのに、と不服そうな顔をするので、どう返答したものか困ってしまった。


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