それらすべてが愛になる

7. 経営企画課の面々

 そして翌日の月曜日。
 清流は維城商事への初出社の日を迎えた。

 初日は人事部主催のオリエンテーション、二日目と三日目は終日研修で、洸に連れられて配属先の経営企画課へと案内されたのは四日目のことだった。

 本社ではどこの部署も広いフロアスペースにオフィスデスクが置かれているが、経営企画部だけは例外で、企画課、秘書課ともに中規模の会議室くらいの広さの一室がそれぞれあてがわれていた。
 これは部長である洸の意向が反映されているらしい。


 経営企画課のメンバーは、洸を含めて男性三人、女性一人だった。

 部長席はガラスパーティションで区切られた個室になっていて、清流の紹介をし終えた洸は「あとは頼んだ」と言い残してその中へと戻っていく。

 自分はどこの席に座ればいいのか迷っていると、ショートボブの女性がこっち、と手招きしてくれた。

 「初めまして工藤清流です、今日からよろしくお願いします」

 手招きしてくれた女性は、細身のパンツスーツを着こなしていて、すらっとしたスタイルの良さが際立っていた。改めて挨拶をしながら、清流は少し見惚れそうになりドキドキする。

 「あんまり固くならないでね、私は榊木未知夏(さかきみちか)。うちの課に女の子が来るなんて久しぶりだからすっごく嬉しいのよ!ねえ、清流ちゃんって呼んでいい?私のことも未知夏でいいから」

 未知夏は終始にこやかに接してくれて、清流も自然と笑顔になる。

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