それらすべてが愛になる
 舞原と未知夏から、経営企画課の仕事内容や資料の取り扱い方、共有環境へのアクセスなどのレクチャーを受けた後、「早速だけどこれよろしくね!」と前任者の引継ぎ書と大量の資料を手渡された。

 今は第一四半期(クォーター)の決算と、新たな三ヵ年計画の策定が同時進行しており、経営企画課は目が回る忙しさなのだという。

 ちょうど決算が大詰め段階で、資料を作っても各部署から最新版のデータが持ち込まれるたびにアップデートが必要になっているらしい。手渡された資料はそれらのものだった。

 「どう清流ちゃん、大丈夫そう?」

 「あ、はい、すみませんちょっと量に驚いてしまって」

 ベースの資料は舞原が作成してくれているため作業自体は難しくなさそうだが、渡された資料の厚さと大量の付箋を見て目を丸くする。これ、今日中に終わるんだろうか。

 「まあ、どこの部署も良い数字見せたいのは分かるんだけどさ、ちょっとはこっちのことも考えてほしいわよねえ」

 「実績が上振れるんならまだマシですけど、下方修正されたときはマジ最悪ですからね。資料の流れ変わるっつーの」

 「何か分からないところがあったら何でも聞いてね」

 「…はい、ありがとうございます」

 清流は配布されたノートパソコンを開くと、資料の一枚目をめくり仕事へと取り掛かった。

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