それらすべてが愛になる
 「部長がオムライス?俺、初耳かも、清流ちゃん何で知ってんの?」

 「え、えーっと何ででしたっけ…?」

 一度口から出た言葉は訂正できない。
 途端に喉の渇きを覚えてレモンサワーを流し込むも、慌てすぎたのかむせそうになった。

 「その話なら雑誌のインタビューに載っていた気がしますよ。この前榊木さんが工藤さんに見せていた雑誌、それで工藤さんも覚えていたんじゃないですか?」

 舞原からの追及をどうごまかそうかと焦っていると、思わぬところから助け舟が出てきた。唯崎だ。

 「あぁ、あの雑誌!そんなプライベートなことも載ってたんだ」

 「俺たちキメ顔の写真ばっかり見て記事読んでないですからね」

 そう言って未知夏と舞原は追加の飲み物を注文した。
 新年度になってから飲み会自体も久しぶりらしく、自他共に認めるお酒好きだという二人は些かテンションが高い。お酒の入ったグラスもハイペースで空いていった。

 (……あの雑誌に、そんな内容は載っていないはず)

 なのにどうして、唯崎は嘘を言ったのだろうか。
 清流は正面に座る唯崎の顔を盗み見るが、唯崎は淡々と鯛の刺身を食んでいる。

 場の話題はすでに別の話へと移っていて、清流はその理由が分からないまま残っていたレモンサワーを飲み干した。

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