それらすべてが愛になる
 「しかしほんと姐さん酒強すぎですよね。あれだけ飲んで今朝ケロッとしてるの、マジで信じられないんですけど」

 「榊木と張り合うのだけはやめておけ、寿命縮めるぞ」

 清流が帰宅したのが日付が変わった頃。

 このメンバーでおかしなところへは行かないだろうと分かりながらも、さすがに深夜帰りは気にかかる。
 出張の疲れもあるし先に寝てしまおうとして、結局帰ってくるまでは気になって自室で起きていたことを清流は知らない。

 「飲むのはいいが、あんまり遅くまで連れ回すなよ」

 「あれ、清流ちゃんが二次会行ったこと知ってるんですね?」

 目敏い視線に、洸は今のが失言だったと悟る。

 「お前らの飲み会で終電で解散になったことないだろ」

 都合よく鈍感を装って舞原の視線を受け流す。
 そのことに気づいているか否か、舞原は「それ唯崎さんにも言われました」と野菜ジュースをズズっと飲み干しながら返した。

 「舞原から見て、工藤はどうだ?」

 「うーん、初めは仕事量に目を回してましたし業界特有の専門用語にも苦戦してるみたいですけど、飲み込みは早いし他部署とのネゴも上手くやってますよ。午前中もマーケティング部から期初のデータ貰ってきてましたし」

 「それなりに馴染めてはいるんだな」

 「え?そうっすね、昨日の歓迎会も楽しそうにしてましたし。今日も姐さんと昼は外に食べに行くって言ってましたよ」

 洸が思っている以上に、清流は経営企画課に溶け込んでいるようだ。

 経営企画課が来ると分かるといまだに敬遠する部署も多いのだが、意外とコミュニケーション能力も高いのかもしれないなと思う。

 「結構気にかけてるんですね、清流ちゃんのこと」

 「そういえば昨日上げてきたお前の報告資料、サンプルが少なすぎて使えない。海外戦略部かマーケティング部から資料追加で貰ってから作り直しだ」

 「げえー、マジっすか!?」

 洸は追及から逃れるようにタスクだけ投げつけると、部長席へと戻って行った。

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