あの夜君と話した最後の僕

皐月

朝、誰もいない静かな教室の匂いが好きだ。
耳を澄ますと目覚めたばかりの鳥たちが子供たちに餌をやらねばと朝からせっせと働いている鳴き声がする。朝ごはんの取り合いの始まる前だな。
朝早くから新聞を配達しているバイクの音。これは騒音に近いが別に嫌いではない。
生徒たちに配ろうと先生がコピー機を使い設定されたことをたんたんとやるコピー機の音。今日は何枚印刷するのかな?
そんななんでもないごく普通の朝の音。特に疑問を持つことの無いなんでもない事に無駄に頭を動かし
「今日の満月はすごく綺麗だなぁ」
僕は1人小さい部屋の中から見えるひときは輝く大きく美しい月を見て呟いた。
1部屋5畳程の小さな僕の部屋には、特にこれといって珍しいものはなく、高校生にしては物が少なすぎる部屋になっている。
この部屋で唯一目に留まるものとしたら、特に決まりもなく適当に入れられてある本棚の上にある写真立てくらいだろう。
焦げ茶で細部に花のような模様の入っているその写真立ての中には真っ白なワンピースを来て満面の笑みをしている少女が一人写っていた。
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