優しくしないで、好きって言って

「俺、別に怒ってないんだけど」

「……へ?」


 なにそれ。

 待って。

 情報が、追いつかない。


「……でも瑛大、あの後からずっと連絡くれなかったでしょう?」


 私が約束を覚えてなかったから。

 だから瑛大は傷ついて、私に電話どころかメッセージも送ってこなくなったと思ってたんだけど……。


「あーそれは、テスト勉強の邪魔しちゃわりーなって思ったから」

「て、テスト……?」


 うそだ。

 ってことは……私の、ただの思い過ごしってこと?

 あんなに悩んでたのに。そんなこと、ある……?


 崩れ落ちそうな身体。それをなんとか保ちぽかんと呆けていると、


「で? 七瀬は俺を悲しませたと思って、こんな泣いてくれたの?」

「な、泣いてなんか」


 ニヤリと覗き込んできた悪戯な目。

 否定しながらも、私は急いで頬を両手で拭う。


 もうこんな姿、二度と人様の前で晒したくない。

 すぐさま記憶から消し去ってほしいくらいだ。


 ……というのに、そんな私なんてお構いなしに瑛大は愉しそうな顔で言葉を続ける。


「あーやば。やっぱり俺、もう無理だわ」

「え、瑛大……?」


 わからない。

 瑛大ってば、何を言って……。


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