優しくしないで、好きって言って

「完全に落とすまで絶対言ってやんねーって思ってたけど──」


 ──え?

 と目を開いたとほぼ同時、私の身体はその胸に引き寄せられていた。


「好きだよ、七瀬」

「っ……なによ、それ」


 鼓膜を揺らしたその言葉に、声が震えた。


「……だから。七瀬が好きだって言ってんの」

「っ!」


 ダメだ。どうしようもなく心臓が激しく鳴ってる。

 きっと瑛大にも伝わってるくらい、煩い。


 ……でも、収まるわけがないんだ。


 ずっと聞きたかった。

 いつかくれる日を、夢に見てた。


 私の一番欲しかった言葉。


 なんで今、言うのかなぁ?

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