優しくしないで、好きって言って

「では俺はこれで。今日はどうも──」

「ちょっと待って」

「「……?」」


 瑛大の声を遮ったママの声に、私と瑛大は共にキョトンと首を傾げる。

 何かあった? そう思った矢先、ぷっくりとした愛らしい唇から信じられない言葉が飛び出した。


「瑛大くん、明日は土曜日で学校もお休みでしょう? 今日はもう家に泊まっていったらどう?」


 ……へ?


「いや……でも」

「大丈夫。巴さんの許可済みだし、ゲストルームもちゃあんと綺麗にしてあるわ。必要なものは(りん)くんに調達してもらってるから」


 ちょっと待ってよ。頭が全く追いつかない。

 突然何を言い出すのかと思えば、家に泊まってもらうって、そんな……。


「ママ、いきなり何言ってるのよ! 瑛大だってほら、迷惑だって……ね?」

「では、お言葉に甘えて」

「ええっ!?」


 うそ。感覚がおかしいのって、私の方!?

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