優しくしないで、好きって言って
『七瀬ちゃん……?』
『七瀬でいい』
『え?』
『七瀬って呼んで』
〝瑛大くん〟はこの時から私の特別になった。
隣にいたら安心して。
いなきゃ物足りなくて。
瑛大といれば、嬉しいことが何倍にも大きくなったし、嫌なことだってすぐに忘れられた。
人一倍優しいところ。まっすぐなところ。思いやりがあるところ。
私はそんな瑛大を知れば知るほど、一緒にいればいるほど、どんどん惹かれていった。
そして気づけば、恋なんて言葉じゃ足りないくらい、瑛大という存在は私の心の中を温かく、埋めつくしていたんだ。
「瑛大……」
突として胸に突き上げてきた想い。
それは、ただ一つだった。
「ちょっとさ、話……してもいい?」