九條くんと、15分。
***
「で?」
昼休み。
お弁当を食べ終わった八愛ちゃんが、頬杖をつきながら私を見る。
「で、とは?」
「今日の九條先輩」
「……っ」
あ、危ない。
飲んでたお茶を吹き出すところだった。
「今日の……って」
「だから、朝の15分で新しい発見はあったか聞いてんの!」
「今朝は、新しい発見ってほどじゃないけど、散歩中のワンちゃんに懐かれててね」
「ワンちゃん……?」
「そう!動物って本能的に人間の善悪が分かるって言うし、妙に納得しちゃったというか」
目線をあわせて、少し目を細める九條くんがかっこよすぎて目に毒だったというか。
「それはつまり、九條先輩が"善"だってこと?」
「それはもちろん!すごく優しい人だもん」
「ふぅん……」
そう言いながら、八愛ちゃんは一瞬考えるような素振りを見せる。
「何回も聞くけど、話したことは?」
「ない」
「会釈程度も?」
「ない」
「目が合ったことは?」
「……たぶん、ない」
「なら、どうして"すごく優しい"って分かるの?」
不思議そうに首を傾げて私をジッと見つめる八愛ちゃん。
「……それは」
言葉が止まる。
なんとなく、私だけが知ってる九條くんの秘密にしたくて、そういえば八愛ちゃんにも話したことがなかった。
私が九條くんを好きになったのは、他の女子たちみたいに単に顔がタイプだからなんて理由じゃない。
──あの日。
偶然にも九條くんの"優しさ"を見てしまったからだ。
「で?」
昼休み。
お弁当を食べ終わった八愛ちゃんが、頬杖をつきながら私を見る。
「で、とは?」
「今日の九條先輩」
「……っ」
あ、危ない。
飲んでたお茶を吹き出すところだった。
「今日の……って」
「だから、朝の15分で新しい発見はあったか聞いてんの!」
「今朝は、新しい発見ってほどじゃないけど、散歩中のワンちゃんに懐かれててね」
「ワンちゃん……?」
「そう!動物って本能的に人間の善悪が分かるって言うし、妙に納得しちゃったというか」
目線をあわせて、少し目を細める九條くんがかっこよすぎて目に毒だったというか。
「それはつまり、九條先輩が"善"だってこと?」
「それはもちろん!すごく優しい人だもん」
「ふぅん……」
そう言いながら、八愛ちゃんは一瞬考えるような素振りを見せる。
「何回も聞くけど、話したことは?」
「ない」
「会釈程度も?」
「ない」
「目が合ったことは?」
「……たぶん、ない」
「なら、どうして"すごく優しい"って分かるの?」
不思議そうに首を傾げて私をジッと見つめる八愛ちゃん。
「……それは」
言葉が止まる。
なんとなく、私だけが知ってる九條くんの秘密にしたくて、そういえば八愛ちゃんにも話したことがなかった。
私が九條くんを好きになったのは、他の女子たちみたいに単に顔がタイプだからなんて理由じゃない。
──あの日。
偶然にも九條くんの"優しさ"を見てしまったからだ。