九條くんの15分


***


帰り道。

中学の時は途中まで一緒に帰れる位置関係だったのに、高校になってから、学校がお互いの家のちょうど真ん中に位置するせいで八愛ちゃんとは一緒に帰れなくなった。

あぁ、寂しすぎる。
トボトボと効果音でも出てそうなくらいしょぼくれて歩く。


そんな私の視界に飛び込んで来たのは、少し前を歩く人の気だるそうな後ろ姿。


「……あ、」


落ち着いた茶髪にゆるくウェット感のあるパーマヘア、綺麗な白い肌。

後ろ姿じゃ目尻の泣きぼくろまでは確認できないけど、あれは間違いなく九條くんだ。

朝はいつもストーカーしてるけど、帰り道が一緒になるのは初めてで、小さくガッツポーズを決める。

朝同様、おそらく耳にはイヤホン。
いつもの何の歌を聴いてるんだろう。


さっきまでのトボトボ歩きが嘘みたいに、
もう少し、もう少し……と、

九条くんのそばに行きたい気持ちが、私の歩くスピードをどんどん上げていく。


< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:7

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

大野くんは同居の5箇条を守らない⍨⃝!!!

総文字数/0

恋愛(ラブコメ)0ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
同居の5箇条 その1 同居してることは絶対内緒 その2 家に友達を呼ばないこと その3 家の外では話しかけないこと その4 勝手に部屋に入らないこと その5 【あやな】と書いてあるアイスは 絶対に食べないこと 🫧.: 💗・:* .🫧.: 💗・:* .🫧.: 💗・:* .🫧 高校1年生 古屋 あやな Ayana Furuya 「また私のアイス食べたでしょ!?」 × 高校2年生 大野 敦 Atsushi Ono 「ほんと、危機感ないやつ」 🫧.: 💗・:* .🫧.: 💗・:* .🫧.: 💗・:* .🫧 始まりは、ほんの些細なことだった。 高校生になった私に待っていたのは……!? 「俺の身の回りの世話係ってこと?」 「身の回りの世話……って」 「もちろん、添い寝まで」 「そっ……!?」 *⑅︎୨୧┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎୨୧⑅︎* あぁ、もう! 大野くんは同居の5箇条を守らない⍨⃝!!! 2017.10.〜更新START 2024.12.15更新再開(リメイク) ※これから随時更新予定です。 *⑅︎୨୧┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎┈┈︎┈︎┈︎┈︎┈︎୨୧⑅︎*
触れて、溶かして、抱きしめて

総文字数/0

恋愛(学園)0ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
好きな人が双子だと知らずに告白したら ……何やら勘違いされてしまいました。 さとう いと 佐藤 絃 × たちばな ちひろ 橘 千紘 だけど、誰がなんと言おうと── 私が好きなのは、千紘くんなんです! って、ちゃんと言えたらいいのに。 ちょっぴり気弱な絃と、 ことある事に双子の兄と自分を比べ、 自分にコンプレックスを抱える千紘。 そんな2人のちぐはぐなお話。
リペイントオレンジ🍊

総文字数/65,256

恋愛(ラブコメ)133ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
憧れていた小学校の先生になった私が、 初めて1人で任された行事は…… え、まさかの『避難訓練』!? そこで出会った消防士は、 「消防士じゃねぇ、消防司令補だ」 意地悪で、偉そうで、何考えてるのか ぜんっぜん!分からなくて……! 正直、苦手。いや、大嫌い。 なのに、 「大丈夫。お前には俺がいるだろ」 「命にかえても、お前だけは守る」 たまに驚くほど優しく笑って…… ヒーローみたいに私を助けてくれる。 「あー、重かった。少し痩せろ」 ※だけど、やっぱり。超嫌なやつ!! *⑅︎୨୧┈︎┈︎┈︎┈︎୨୧⑅︎* Ozaki Mio 尾崎 心音(24) 新米教師:小学校の先生1年目 × Sugano Takashi 菅野 尊(31) 消防士:消防司令補 *⑅︎୨୧┈︎┈︎┈︎┈︎୨୧⑅︎* 彼の瞳に映る消えないオレンジを知った日。 ───私は、声を殺して泣いた。 「尾崎はオレンジなんですよ、眩しいくらい」 「なら、いっそ塗り替えちまえ。 お前の中のオレンジを ”あの日”から尾崎ちゃんに」 何度だって塗り替えてあげる。 あなたのオレンジをわたし色に。 ─── リペイントオレンジ ─── オレンジ色を塗り直す

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop