九條くんと、15分。
まるで、特別なことなんてなにひとつしてないって顔で。
冷たい人だと思っていた。
怖そうな人だと思っていた。
人には興味がなくて、きっと女ってだけで、全部が面倒くさいと思ってるんだと思っていた。
なのに。
誰も見ていないところでは、こんなことをする。
「……ギャップがすぎる」
あの瞬間、私の中で何かが変わった。
胸がギュッて苦しくなって、息を吸うのも忘れた。
もっと知りたい。
この人のこと、もっと見ていたい。
この人は、どんなことで笑うんだろう。
どんな顔で笑うんだろう。
その答えが知りたくて、気づけば私は、次の日から九條くんの後ろを少し離れて歩くようになった。
毎朝15分。
私だけの、秘密の時間。