九條くんと、15分。
──放課後。
八愛ちゃんがせっかくファミレス誘ってくれたのに。
……今日に限って、委員会の集まりがあるなんて。
「さいあく」
ムスッとしながら図書室に入れば、
「遅いぞ、日向〜」
そう言って、私に手を挙げる 桐谷 蓮先輩。
同じ図書委員で、入学早々、何も分からない私にあれこれ委員の仕事を教えてくれたのが桐谷先輩だった。
良い意味で年上を感じさせない人当たりの良さ。
ノリで生きてるタイプに見えて、実は周りをよく見ていて、機転が利くタイプだと思う。
「お疲れ様です」
「なに、機嫌悪いじゃん」
「委員会のせいで友達とファミレス行けなくて」
「おー、友達と遊べなくて拗ねてんのか。
でも、ちゃんと仕事に来てエライ、エライ」
最後の"エライ、エライ"が棒読みすぎて、むしろバカにされてる気さえしてくる。
「それで、今日は何やるんですか?」
「広報活動。図書室だよりの作成と今週のおすすめ文庫のPOPの作成、あと昼休みの当番、曜日替えするらしい」
「……じ、時間かかるやつ」
「はーん、早く終わったら遊びに行こうと思ってたわけだ?」
「……っそ、そんなことは」
「よく、分かりやすいって言われない?」
堪えきれないとばかりにフハッと笑う桐谷先輩。
確かに、八愛ちゃんにもよく分かりやすいって言われる。
私って、そんなに分かりやすいのだろうか。
そんなことを思っていると、
「ま、とにかくサクッと終わらせて帰ろーぜ」
私の肩をポンポンと叩いて、一足先に桐谷先輩は仕事に取り掛かってしまった。