エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 急に二人きりなのだということが意識されてしまって、莉桜はだんだんどきどきしてきてしまった。
 いつもの香りと包み込まれるような温もり。
 五十里の腕の中は莉桜の安心できる場所でもあった。
 耳元に低い美声が届く。

「妬いた?」
「妬きました」
「すっごく?」
「とても」
「妬いてくれることが嬉しいと言ったら怒るか?」

 怒ることはない。きっと気持ちは通じているのだ。分かっていてこんなことを聞くのはいじわるだ。
「いじわるです……」
「違う。いじわるで聞いてるんじゃない。本当に嬉しくて愛おしい気持ちが溢れそうなんだ。莉桜、君の全てをもらってもいいか?」
 鼓動はどきんと大きく跳ねた。

 近くで見る五十里の顔はとても真剣なものだった。
「あ……」
 莉桜はまぶたを伏せてこくりと頷く。
 だって、きっと全てなんて五十里にしか渡せない。五十里になら全てを受け取ってほしい。
「あの、でも私……初めてで……」
「うん。大事にする」
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