エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
(そ、そうだった。この人、とんでもないセレブなんだったわ)
「仕事……ですか?」
「仕事に活かすつもりはあるけれど、完全にプライベートだ」
 莉桜が尋ねると、五十里はきっぱりとそう答えた。

 飛行機の前には操縦士、副操縦士、客室乗務員数名がにこやかに立っていて二人を出迎えてくれていた。
 その中でタブレットを片手に持った女性が莉桜と五十里に笑顔で歩み寄る。

「本日は当社をご利用頂き、ありがとうございます。私、機内でのサービスの責任者をしております河内(かわち)と申します。快適なフライトのお手伝いをさせていただきます。何でもお申し付けくださいませ」
「よろしくお願いいたします」
 莉桜はもちろんプライベートジェットに搭乗するのは初めてだ。緊張もするけれど、こんな経験はなかなかできない。莉桜は思い切って楽しんでしまうことに決めた。

 タラップを上がり、機内に入るとソファのような革張りのシートがあり客席とは思えないほど広々としている。ソファの横のテーブルにはシャンパンが置いてあった。ウェルカムシャンパンということだろう。

 床は深い臙脂の毛足の長い絨毯が敷いてあり、機内のインテリアは落ち着いたベージュをメインにしていて、高級感がありながらも柔らかい雰囲気を大切にしているのだと察することができた。
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