エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 ぷかぷかと浮いているだけでも気持ち良いが、海中を覗けば水族館とはまた違った自然な姿の生き物たちを見ることができる。

 五十里は莉桜にシュノーケリングベストを着せると自分も着用してフィンという足ひれを付け海に入り、莉桜に向かって手を伸ばした。
「気持ちいい。おいで、莉桜」
 莉桜もフィンを付けてペンギンのようにデッキを歩き、遠慮なく海で浮かんでいる五十里の腕の中に飛び込む。

 デッキからの海は意外な深さがあった。水が綺麗で海の底が陸から見えるため浅いかと思ってしまうのだが、身長は全然届かないくらいの深さがある。莉桜が飛びこんだときは魚も一瞬驚いたようで、しゅっと離れたがすぐに近くに寄ってくる。

「すごく人懐っこいのね」
「餌付けもできるようだし、人慣れしているかもな。莉桜、波が結構ある。気をつけて」
 その時確かにふわりと莉桜が波に流されそうになる。五十里は手を伸ばして莉桜を抱き寄せた。

「ほら、危ない」
「気をつけます」
 海は楽しくて綺麗だが、けっしてそれだけの場所ではない。アクティビティをする時はそれをしっかりと肝に銘じた上で楽しまなくてはいけないと莉桜も知っていた。
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