エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 五十里はふっと笑うと、海に浮いている莉桜の手に魚の餌を渡す。莉桜が手にしていた餌を海の中で撒くと、小さくてカラフルな魚がたくさん二人に近寄ってきた。
 餌と間違えられて莉桜は時折つつかれたりもする。

「ひゃんっ……くすぐったいよ!」
「困った魚だな」
 五十里も魚につつかれる莉桜を見て笑っていた。
 黄色や青の綺麗な色の魚を海の中で水中ゴーグル越しに見て楽しむ。
 時折、近くにいる五十里とゴーグルのガラス越しに目が合って、微笑みあったりもした。

 綺麗なものを一緒に見られる幸せはなにものにも替えがたい。現実離れした夢のような世界に二人で同じ時間を過ごし、思い出を共有できることに得難い喜びを感じたのだった。

「すごく楽しかった……」
 魅力的な海での体験を終えて、夕日が沈む海を一望できる景色を二人で堪能する。
 デッキのテーブルの上にはシャンパングラスを置いて楽しんでいた。

 赤く染まる空がきれいにグラデーションしている光景は見事としか言いようがない。ふわりと風にあおられて、莉桜は長い髪を指先で耳にかけた。
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