エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 顔見知りと言ってもJSAほどの航空会社だと乗務が一緒になるということはなかなかない。

「そうなんですね。紫は元気ですか?」
「変わらず元気。この仕事は性に合ってるみたいだ」
 にっこり笑って嬉しそうに立花も近づいてきた。
「同期でもなかなかフライトは一緒にならなくて……」
「ああ、そうだよね」

 立花紫とは研修中にチームを組んで訓練したこともあり、同期の中でも仲が良い方だった。
 実家に遊びに行ったこともあり、その際に航とも莉桜は面識があったのだ。

「ご家族の皆さまはお元気ですか?」
「元気元気。父なんかは久しぶりの最新機種導入に大喜びしてる。しかも国産だしね。念願で待望の!  って感じだよ」
 確かに国産機種というだけでなにやら誇らしいような気持ちになってくるから不思議だ。
「訓練でこんなにわくわくすることは確かにないですね」
「正直僕もだよ」
 ふふっと航が笑う。

「おはようございます!」
 そこへ今日の指導役であるチーフパーサーが入ってきて笑顔で挨拶する。
「おはようございます!」
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