エリート役員は空飛ぶ天使を溺愛したくてたまらない
 訓練生たちから元気な挨拶が返された。
「ご存知の方も多いと思いますが、今日はこちらの最新機材で最新機種の訓練となります。まずはみんな中が見たいでしょう。早速入りましょう。説明は中でします」
 そう言われて「はい!」と方々から返事の声が上がった。

 莉桜もわくわくしながら、階段を上がり機材の中に入る。
 そこは普段莉桜達がいる客室とほぼ変わらない景色だった。窓からは外の景色さえ見えている。
 最新機種の中はどこもかしこもピカピカで、いやでも莉桜の気持ちを高揚させた。
「外の景色まで再現されているの、すごい」
「最新機種、少し座席が広いっていうけど、本当だね。快適だ」

「座席前も広めだそうですね」
「数センチのはずだがとても広く感じる」
 今日は客役なのだろう立花は席に座って感心した声を上げる。
 確かに見たところ長身の立花でも窮屈そうではない。
 実際のお客様もそのような感想を持つのだろう。

「通常の離着陸の際の機体の動きだけではなく、緊急着陸時の機体や着水したときの動きまで再現されるそうなので、訓練もとても緊張感を持ってできると思います」
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