本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 63
「はい。これ渡しておくわ」
アルコールを飲んでいると、テーブルの上にスマホを置かれた。
「これは……? スマホ?」
「ええ、そうよ。私からのプレゼント。今度からこれを使ってちょうだい。今迄使っているのは解約するのよ」
「解約だって!? 何故そんな事を!」
驚いて常盤恵利を見た。
「当然じゃない。元恋人と一切連絡を取らせないためよ」
クイッとアルコールを飲みながら言われてしまった。
「その言い方だと、電話番号もアドレスも一切使えなくさせるって事か?」
「ええ。そうよ。フリーメールアドレスを使っているなら変更して」
「いきなりすぐにそんな事出来るはずないだろう? それでは知り合いにも一斉に連絡を取らせないつもりか? いくら何でもそんな事は認めないぞ。彼女からの番号とアドレスを着信拒否にするだけじゃ駄目なのか?」
「彼女なんて言わないで! 今の直人の彼女であり……婚約者はこの私なのよ!」
常盤恵利はヒステリックに喚いた。
「っ!」
何て女なんだ……?
「もし次に元恋人の事を彼女と言ったら、ただでは済まないわよ?」
「……わ、分かった……。だけどいきないり解約だけは勘弁してくれ。1周間以内には必ず解約するから……。疑うなら誓約書を書いてもいい。頼む」
常盤恵利に頭を下げた。
「……分かったわ。なら1周間待ってあげる」
そして常盤恵利はグラスを一気にあおった――
****
「ありがとう、わざわざ送ってくれて」
都内のタワーマンションにタクシーで送り届けると礼を述べてきた。
「……ああ」
タクシーの中で返事をすると、常盤恵利が言った。
「何しての? 直人も下りるのよ」
「え? だが俺は家に……」
「私の言うことが聞けないと言うの?」
眉を釣り上げてくる。
「分かったよ……降りればいいんだろう?」
ため息をつくとカード払いでタクシー代を支払うと、渋々降りた。
するとすぐにタクシーは走り去っていく。あれに乗ってそのまま帰りたかったのに……。思わずため息をつくと、常盤恵利を見た。
「どういうつもり何だ? 俺をタクシーから下ろすなんて」
「どういうつもりも何もないわよ。私のマンションにいらっしゃいよ」
「……断る」
「何ですって?」
「悪いが行くつもりはない。俺はもうここで帰らせて貰う」
「な、直人……!」
常盤恵利の顔色が青ざめる。
「けじめをつけたいんだ。結婚するまでは外でしか会わない。……変に常盤社長に目をつけられたくないんでね」
本当はこの女の住むマンションに等行きたくなかったからだが、そこは言わない。
「ふん……真面目なのね。分かったわ、ここまででいいわ。なら……別れのキスくらいしましょうよ」
そう言うと、常盤恵利は目を閉じ、顔を上に向けた。
「それも断る」
この女にキスだって? 冗談じゃない。
「な、何ですって!? どうしてよ!」
青ざめる常盤恵理。嫌悪感しか抱けない相手にキスなど出来るものか。
「だからさっきと同じ理由だ。けじめをつけたいと言っただろう?」
「わ、分かったわ……だったらもういいわよ! また明日必ず連絡入れなさいよ!」
常盤恵利は憎々し気に睨みつけてくると、タワーマンションへと入って行った。
「……全く、何て傲慢な女だ……」
ため息をつくと、駅目指して歩き出した。あんな女のマンションにも行きたくなかったし、触れたくも無い。
駅を目指して歩き始めた。
だが俺の取ったこの一連の行動が常盤恵利の恨みを買い、その恨みが鈴音に向かわせる事になるとは思ってもいなかった――
アルコールを飲んでいると、テーブルの上にスマホを置かれた。
「これは……? スマホ?」
「ええ、そうよ。私からのプレゼント。今度からこれを使ってちょうだい。今迄使っているのは解約するのよ」
「解約だって!? 何故そんな事を!」
驚いて常盤恵利を見た。
「当然じゃない。元恋人と一切連絡を取らせないためよ」
クイッとアルコールを飲みながら言われてしまった。
「その言い方だと、電話番号もアドレスも一切使えなくさせるって事か?」
「ええ。そうよ。フリーメールアドレスを使っているなら変更して」
「いきなりすぐにそんな事出来るはずないだろう? それでは知り合いにも一斉に連絡を取らせないつもりか? いくら何でもそんな事は認めないぞ。彼女からの番号とアドレスを着信拒否にするだけじゃ駄目なのか?」
「彼女なんて言わないで! 今の直人の彼女であり……婚約者はこの私なのよ!」
常盤恵利はヒステリックに喚いた。
「っ!」
何て女なんだ……?
「もし次に元恋人の事を彼女と言ったら、ただでは済まないわよ?」
「……わ、分かった……。だけどいきないり解約だけは勘弁してくれ。1周間以内には必ず解約するから……。疑うなら誓約書を書いてもいい。頼む」
常盤恵利に頭を下げた。
「……分かったわ。なら1周間待ってあげる」
そして常盤恵利はグラスを一気にあおった――
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「ありがとう、わざわざ送ってくれて」
都内のタワーマンションにタクシーで送り届けると礼を述べてきた。
「……ああ」
タクシーの中で返事をすると、常盤恵利が言った。
「何しての? 直人も下りるのよ」
「え? だが俺は家に……」
「私の言うことが聞けないと言うの?」
眉を釣り上げてくる。
「分かったよ……降りればいいんだろう?」
ため息をつくとカード払いでタクシー代を支払うと、渋々降りた。
するとすぐにタクシーは走り去っていく。あれに乗ってそのまま帰りたかったのに……。思わずため息をつくと、常盤恵利を見た。
「どういうつもり何だ? 俺をタクシーから下ろすなんて」
「どういうつもりも何もないわよ。私のマンションにいらっしゃいよ」
「……断る」
「何ですって?」
「悪いが行くつもりはない。俺はもうここで帰らせて貰う」
「な、直人……!」
常盤恵利の顔色が青ざめる。
「けじめをつけたいんだ。結婚するまでは外でしか会わない。……変に常盤社長に目をつけられたくないんでね」
本当はこの女の住むマンションに等行きたくなかったからだが、そこは言わない。
「ふん……真面目なのね。分かったわ、ここまででいいわ。なら……別れのキスくらいしましょうよ」
そう言うと、常盤恵利は目を閉じ、顔を上に向けた。
「それも断る」
この女にキスだって? 冗談じゃない。
「な、何ですって!? どうしてよ!」
青ざめる常盤恵理。嫌悪感しか抱けない相手にキスなど出来るものか。
「だからさっきと同じ理由だ。けじめをつけたいと言っただろう?」
「わ、分かったわ……だったらもういいわよ! また明日必ず連絡入れなさいよ!」
常盤恵利は憎々し気に睨みつけてくると、タワーマンションへと入って行った。
「……全く、何て傲慢な女だ……」
ため息をつくと、駅目指して歩き出した。あんな女のマンションにも行きたくなかったし、触れたくも無い。
駅を目指して歩き始めた。
だが俺の取ったこの一連の行動が常盤恵利の恨みを買い、その恨みが鈴音に向かわせる事になるとは思ってもいなかった――