本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
川口直人 81
「兄ちゃん……何笑ってるんだよ」
「え? 笑ってたか?」
「そうだよ。今笑ってたよ。自覚無かったのか?」
「あ、ああ……気付かなかった」
すると和也が意味深に笑った。
「やっぱり……そんなに好きなのか。鈴音さんの事が」
「当然だろう? 鈴音は俺の全てなんだから」
「うわっ! そこまで言い切るのかよ! 驚いたな……。だけど兄ちゃんが嬉しそうに笑うの久しぶりに見たよ。ここ最近、ずっと気難しい顔していたからな。うん、良かった。正直言うと……ずっと心配していたからさ」
「和也……」
「だけど、本当に美人だったな~鈴音さん……。写真よりもずっと美人だった。あれじゃぁ他の男が放っておかないだろうな~。現にファミレスにいた男性客達、鈴音さんをじっと見つめていたし。年下の男って鈴音さんどう思うかな……」
和也の聞き捨てならない言葉に驚いた。
「お、おい。和也……お前、まさか本気で……鈴音に? 絶対に駄目だぞ! 鈴音はやらないからな!」
「何言ってるんだよ。もう鈴音さんの事は諦めたんじゃないのかよ?」
「確かに一時はそう思ったかもしれないけど……鈴音がまだ俺の事を思ってくれているなら諦めない。何としても常盤恵理との婚約を破棄して、会社を救う道も考えるよ」
「そっか……頑張ってくれよな」
「ああ」
和也から鈴音の事を聞かされて、久しぶりに気分が上向きになり、浮かれていた。さらに常盤恵理は毎年の家族の恒例行事だとかでハワイに行っているせいなのか、連絡が来なかったのも幸いした。
だから気付かなかったのだ。
岡本から連絡が入っていた事に――
****
正月三が日は家で家族と過ごした。尤もこの間も父と川口家電の経営立て直しの為の方法を探していたので、あまり休むことは出来なかったが鈴音の事を思えば少しも苦では無かった。
そして1月5日――
「ふぅ~…」
仕事が終わり、帰宅したのは午後9時を過ぎていた。ここへ帰って来るまでの間スマホをチェックしたが、未だに常盤恵理からの連絡は入って来ない。
「まだハワイにいるのだろうか……?」
だが、連絡が入って来ないのは丁度良い。結局岡本から連絡が入っているにも関わらず、年末年始も忙しかったので連絡を入れずじまいだった。尤も岡本から何も言ってこなかったので、さほど重要な用で連絡を入れてきたわけではなかったのかもしれない。
「とりあえず新年の挨拶でもしておくか……」
岡本の電話番号をタップした――
****
「ふ~…いい湯だったな……」
結局、岡本と連絡が取れなかったので、風呂に入っていたのだ。
風呂から上がり、部屋着に着換えて濡れた髪をバスタオルで拭きながら冷蔵庫へ向かうと缶ビールを取り出した。
そのまま部屋へ向かい、ローソファに座って缶ビールを飲んでいると、突然テーブルの上に置いたスマホが鳴り響く。
「電話か…」
着信相手を見ると、それは岡本からだった。早速スマホをタップすると電話に出た。
「もしもし」
『おい、突然一体どうしたんだよ!』
相変わらず喧嘩腰の口調だが、今夜は少しも気にならなかった。
「ああ、ちょっと色々あってな……とりあえず新年明けましておめでとう」
今頃……しかも夜にこの挨拶はどうだろうと思ったが、とりあえず口にした。
『おい、何呑気に新年の挨拶をしてくるんだよ? 用件は何だよ?』
そこで俺は弟が鈴音に偶然会った話をすると岡本はかなりイラついていた。
どうやら俺が鈴音の写真を和也に見せたことが気に入らなかったらしい。……が鈴音は自慢の恋人だから紹介したくなると話したところ、岡本はそれ以上文句を言ってくる事は無かった。
それから弟と会った時の鈴音の状況を説明し、必ず常盤恵理と別れて見せると岡本に言った。実は台湾の企業から川口家電で開発中の商品開発に協力したいと申し入れが来ている話があり、その件は常盤商事には秘密にしていたのだ。その事を岡本に説明すると鈴音の事で驚きの話を聞かされた
鈴音の周囲に2人の男が纏わりついていると――
「え? 笑ってたか?」
「そうだよ。今笑ってたよ。自覚無かったのか?」
「あ、ああ……気付かなかった」
すると和也が意味深に笑った。
「やっぱり……そんなに好きなのか。鈴音さんの事が」
「当然だろう? 鈴音は俺の全てなんだから」
「うわっ! そこまで言い切るのかよ! 驚いたな……。だけど兄ちゃんが嬉しそうに笑うの久しぶりに見たよ。ここ最近、ずっと気難しい顔していたからな。うん、良かった。正直言うと……ずっと心配していたからさ」
「和也……」
「だけど、本当に美人だったな~鈴音さん……。写真よりもずっと美人だった。あれじゃぁ他の男が放っておかないだろうな~。現にファミレスにいた男性客達、鈴音さんをじっと見つめていたし。年下の男って鈴音さんどう思うかな……」
和也の聞き捨てならない言葉に驚いた。
「お、おい。和也……お前、まさか本気で……鈴音に? 絶対に駄目だぞ! 鈴音はやらないからな!」
「何言ってるんだよ。もう鈴音さんの事は諦めたんじゃないのかよ?」
「確かに一時はそう思ったかもしれないけど……鈴音がまだ俺の事を思ってくれているなら諦めない。何としても常盤恵理との婚約を破棄して、会社を救う道も考えるよ」
「そっか……頑張ってくれよな」
「ああ」
和也から鈴音の事を聞かされて、久しぶりに気分が上向きになり、浮かれていた。さらに常盤恵理は毎年の家族の恒例行事だとかでハワイに行っているせいなのか、連絡が来なかったのも幸いした。
だから気付かなかったのだ。
岡本から連絡が入っていた事に――
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正月三が日は家で家族と過ごした。尤もこの間も父と川口家電の経営立て直しの為の方法を探していたので、あまり休むことは出来なかったが鈴音の事を思えば少しも苦では無かった。
そして1月5日――
「ふぅ~…」
仕事が終わり、帰宅したのは午後9時を過ぎていた。ここへ帰って来るまでの間スマホをチェックしたが、未だに常盤恵理からの連絡は入って来ない。
「まだハワイにいるのだろうか……?」
だが、連絡が入って来ないのは丁度良い。結局岡本から連絡が入っているにも関わらず、年末年始も忙しかったので連絡を入れずじまいだった。尤も岡本から何も言ってこなかったので、さほど重要な用で連絡を入れてきたわけではなかったのかもしれない。
「とりあえず新年の挨拶でもしておくか……」
岡本の電話番号をタップした――
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「ふ~…いい湯だったな……」
結局、岡本と連絡が取れなかったので、風呂に入っていたのだ。
風呂から上がり、部屋着に着換えて濡れた髪をバスタオルで拭きながら冷蔵庫へ向かうと缶ビールを取り出した。
そのまま部屋へ向かい、ローソファに座って缶ビールを飲んでいると、突然テーブルの上に置いたスマホが鳴り響く。
「電話か…」
着信相手を見ると、それは岡本からだった。早速スマホをタップすると電話に出た。
「もしもし」
『おい、突然一体どうしたんだよ!』
相変わらず喧嘩腰の口調だが、今夜は少しも気にならなかった。
「ああ、ちょっと色々あってな……とりあえず新年明けましておめでとう」
今頃……しかも夜にこの挨拶はどうだろうと思ったが、とりあえず口にした。
『おい、何呑気に新年の挨拶をしてくるんだよ? 用件は何だよ?』
そこで俺は弟が鈴音に偶然会った話をすると岡本はかなりイラついていた。
どうやら俺が鈴音の写真を和也に見せたことが気に入らなかったらしい。……が鈴音は自慢の恋人だから紹介したくなると話したところ、岡本はそれ以上文句を言ってくる事は無かった。
それから弟と会った時の鈴音の状況を説明し、必ず常盤恵理と別れて見せると岡本に言った。実は台湾の企業から川口家電で開発中の商品開発に協力したいと申し入れが来ている話があり、その件は常盤商事には秘密にしていたのだ。その事を岡本に説明すると鈴音の事で驚きの話を聞かされた
鈴音の周囲に2人の男が纏わりついていると――