本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
亮平 25
気づけば俺は川口から鈴音を強引に奪い、鈴音のマンションへ入っていた。おれが部屋に入るなり、暑いと言ったら何と鈴音がコンビニへ行って麦茶を買ってくると言い出したのだ。こんな夜にしかも今日退院して来たばかりの鈴音にコンビニへ行かせるわけにはいかない。そこで代わりに俺がコンビニへ行くことになった。そうだ、ついでに川口のマンションへ行くか。
あいつ……俺が鈴音を連れ去る時、ものすごい目で睨みつけてきたからな。
「いいか? すぐに鍵かけろよ?」
玄関に立った俺はしつこいくらい鈴音に念押ししていた。
「うん」
素直に返事をする鈴音の頭を思わず撫でてやりたい衝動に駆られるのをぐっと押さえ、俺はまず最初に川口のマンションへ向かった——
ピンポーン
インターホンを押すと少しの間が空き、扉がガチャリと開かれた。
「……何の用だい?」
不機嫌そうなのを隠しもせずに川口が尋ねてきた。
「鈴音の事で話があるんだよ」
「そうか……それじゃあがれよ」
「いや、ここでいい。用件はすぐに済むからな」
「……」
一瞬川口の眉がピクリと上がった。俺は一度息を吐くと言った。
「どういうつもりか知らないが、これ以上鈴音につきまとうな。お前のしている事はどう見てもストーカーだからな」
すると川口が腕組みする。
「へぇ〜ストーカーねぇ……ひょっとすると自分の事を言っているのかい?」
「何だと……?」
こいつ……この俺に言ったのか? 俺がストーカーだって……。
「俺はストーカーじゃない。何せ鈴音とは幼馴染だからな」
「へぇ? 幼馴染なら彼女にどんな強引な手を使ってもいいと思ってるのかい? いいか? 彼女の幼馴染だか何だか知らないけれど、俺から言わせるとあんたの方が余程ストーカーに見えるよ」
「何だと? 俺はな……お前のような奴らから鈴音を守るのが義務だと思っているんだ」
「それこそ典型的なストーカーの考えだと思わないのか? 大体加藤さんに聞いてるよ。彼女のお姉さんと恋人同士なんだって? それなのに何故彼女につきまとっているんだよ。恋人に付き添ってやるのが普通じゃないのか?」
「何だって……?」
怒気を含んだ声で川口を睨みつけた。
「……生憎俺は加藤さんを諦めるつもりは無い。本気で彼女の事が好きだから近いうちに必ず告白して、絶対に恋人同士になるつもりだ。……初めてなんだよ。こんなに誰かを好きになるなんて」
「お、お前……っ!」
「もう話は終わりだ。早く家に帰ったほうがいいんじゃないか?」
川口がちらりと壁にかかっている時計を見た。あ……そうだ、鈴音を待たせていたんだった!
「ああ、言われなくても帰ってやるよ!」
俺は乱暴に扉を閉めると川口のマンションを後にした。
「早く買い物を済ませて鈴音の元へ戻ってやらないと……!」
そして、その日の夜。俺は鈴音が心配だからと言って無理やりマンションへ泊まることにした。
****
鈴音がベッドに、俺は床に寝た。薄暗い部屋の中で俺と鈴音はポツリポツリと会話を続けた。そして鈴音は退院してきたばかりだと言うのに俺の朝飯の心配をしてきたのだ。
思わず感極まる。もう少し……鈴音と話がしたい……。
「鈴音……」
そっと呼んでみるが返事がない。
「鈴音……寝たのか……?」
「……」
しかしやはり無反応だ。今なら俺と忍の事……話してもいいだろうか? 俺はもう忍とは恋人同士じゃ無くなった、とっくに関係は終わったってことを……。
「鈴音……俺……実は忍とはもう別れたんだ……」
「……」
鈴音は……もう眠っていた。
俺は今日も大事なことを伝えきれなかった――
あいつ……俺が鈴音を連れ去る時、ものすごい目で睨みつけてきたからな。
「いいか? すぐに鍵かけろよ?」
玄関に立った俺はしつこいくらい鈴音に念押ししていた。
「うん」
素直に返事をする鈴音の頭を思わず撫でてやりたい衝動に駆られるのをぐっと押さえ、俺はまず最初に川口のマンションへ向かった——
ピンポーン
インターホンを押すと少しの間が空き、扉がガチャリと開かれた。
「……何の用だい?」
不機嫌そうなのを隠しもせずに川口が尋ねてきた。
「鈴音の事で話があるんだよ」
「そうか……それじゃあがれよ」
「いや、ここでいい。用件はすぐに済むからな」
「……」
一瞬川口の眉がピクリと上がった。俺は一度息を吐くと言った。
「どういうつもりか知らないが、これ以上鈴音につきまとうな。お前のしている事はどう見てもストーカーだからな」
すると川口が腕組みする。
「へぇ〜ストーカーねぇ……ひょっとすると自分の事を言っているのかい?」
「何だと……?」
こいつ……この俺に言ったのか? 俺がストーカーだって……。
「俺はストーカーじゃない。何せ鈴音とは幼馴染だからな」
「へぇ? 幼馴染なら彼女にどんな強引な手を使ってもいいと思ってるのかい? いいか? 彼女の幼馴染だか何だか知らないけれど、俺から言わせるとあんたの方が余程ストーカーに見えるよ」
「何だと? 俺はな……お前のような奴らから鈴音を守るのが義務だと思っているんだ」
「それこそ典型的なストーカーの考えだと思わないのか? 大体加藤さんに聞いてるよ。彼女のお姉さんと恋人同士なんだって? それなのに何故彼女につきまとっているんだよ。恋人に付き添ってやるのが普通じゃないのか?」
「何だって……?」
怒気を含んだ声で川口を睨みつけた。
「……生憎俺は加藤さんを諦めるつもりは無い。本気で彼女の事が好きだから近いうちに必ず告白して、絶対に恋人同士になるつもりだ。……初めてなんだよ。こんなに誰かを好きになるなんて」
「お、お前……っ!」
「もう話は終わりだ。早く家に帰ったほうがいいんじゃないか?」
川口がちらりと壁にかかっている時計を見た。あ……そうだ、鈴音を待たせていたんだった!
「ああ、言われなくても帰ってやるよ!」
俺は乱暴に扉を閉めると川口のマンションを後にした。
「早く買い物を済ませて鈴音の元へ戻ってやらないと……!」
そして、その日の夜。俺は鈴音が心配だからと言って無理やりマンションへ泊まることにした。
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鈴音がベッドに、俺は床に寝た。薄暗い部屋の中で俺と鈴音はポツリポツリと会話を続けた。そして鈴音は退院してきたばかりだと言うのに俺の朝飯の心配をしてきたのだ。
思わず感極まる。もう少し……鈴音と話がしたい……。
「鈴音……」
そっと呼んでみるが返事がない。
「鈴音……寝たのか……?」
「……」
しかしやはり無反応だ。今なら俺と忍の事……話してもいいだろうか? 俺はもう忍とは恋人同士じゃ無くなった、とっくに関係は終わったってことを……。
「鈴音……俺……実は忍とはもう別れたんだ……」
「……」
鈴音は……もう眠っていた。
俺は今日も大事なことを伝えきれなかった――