本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます ~side story ~
亮平 26
翌朝――
目が覚めると鈴音はぐっすり眠っていた。
「フ……よく寝てるじゃないか」
しかし……鈴音は俺のことを1人の男として全く意識していないという事が昨晩泊まって良く分かった。大体若い男女が同じ部屋で一晩一緒なんて意識しないほうが変だろう? 現に俺は一睡も出来なかったというのに、鈴音はあっという間に眠ってしまい、今だにこうして眠りについているのだから。
「鈴音……」
俺は眠っている鈴音に顔を寄せ……唇に触れようとして我に返った。
「あ……お、俺は今一体何をしようとしていたんだ?」
何て事だ! 俺は眠っている相手に……しかも鈴音相手にキスしようとするなんて!
バチンと自分の頬を叩いて戒め、鈴音に置き手紙をするとマンションを後にした――
19時――
会社を出ると言葉が口をついて出てしまった。
「鈴音の奴……大丈夫かな…‥?」
今日は1日鈴音の事が気がかりでならなかった。
「退院してきたばかりだから部屋にいるとは思うが……」
よし、電話かけてみるか。俺はカバンからスマホを取り出すと鈴音の番号をタップした。
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
「おかしい……? 何で出ないんだ……?」
12回もコール音を鳴らしているのに一向に鈴音が電話に出る気配がない。
ピッ
一度電話を切った。まさか鈴音の身に何かあったんじゃ……?
途端にどうしようもない不安で心が押しつぶされそうになる。鈴音……っ! 俺は再度スマホをタップした――
****
「くそっ! 川口の奴……!」
怒りのあまり、思わずスマホを道路に叩きつけそうになり……踏みとどまった。まさか鈴音が川口と一緒にいるとは思わなかった。2人で飯を食べていたなんて。しかもその話を鈴音からスマホを横取りして川口自らの口で聞かされるとは屈辱以外の何ものでもない。こうなったら直接鈴音のマンションへ行ってやる。待ち伏せして鈴音を問い詰めてやるんだ。俺があれ程忠告してやったのに川口と一緒にいるなんて、とうてい許されるはずがない。
俺は急ぎ足で駅に向かった――
「何してるんだよ?」
マンション前で待っていると、鈴音が川口に肩を抱かれて戻ってきた。
「え? りょ……亮平……?」
鈴音は大きな目を見開いて俺を見ている。一方の川口は涼しい目で俺を見てた。その余裕の素振りがますます俺の神経を逆なでする。
「おい、お前……性懲りも無く……鈴音から離れろよ」
「……」
なのに川口の奴は返事もせずにますます鈴音の肩を引き寄せた。まるで鈴音を抱きしめているような仕草にカッとなった。
「お前……鈴音は病み上がりなんだ。勝手に連れ出すんじゃない」
俺の言葉に流石にまずいと思ったのか川口が鈴音の肩から手を離した。
「鈴音、こっちに来い」
腕を掴んで引き寄せると川口が俺を咎めてきた。
「おい! 乱暴に腕を掴むなっ!」
何だってっ!? お前に言われる筋合いは……。しかし鈴音の顔を見てハッとなった。その顔は痛みの為か歪んでいた。
「悪い」
腕を掴む力を緩めた後、その後も3人で外で押し問答が繰り広げられ……ついに川口が鈴音に告白した。
「加藤さん、俺は加藤さんの事が好きだ。ずっとそばにいたい。……俺と付き合ってくれないか?」
突然の告白に鈴音は戸惑い、俺は怒りがこみ上げてきた。しかし鈴音はその告白を断り、更に俺にも言った。
「亮平……亮平はお姉ちゃんの恋人なんだから私には構わないで。お姉ちゃんの話しなら笠井先生から聞くから」
そして鈴音は逃げるように俺と川口を残して、マンションへ駆け込んでしまった――
目が覚めると鈴音はぐっすり眠っていた。
「フ……よく寝てるじゃないか」
しかし……鈴音は俺のことを1人の男として全く意識していないという事が昨晩泊まって良く分かった。大体若い男女が同じ部屋で一晩一緒なんて意識しないほうが変だろう? 現に俺は一睡も出来なかったというのに、鈴音はあっという間に眠ってしまい、今だにこうして眠りについているのだから。
「鈴音……」
俺は眠っている鈴音に顔を寄せ……唇に触れようとして我に返った。
「あ……お、俺は今一体何をしようとしていたんだ?」
何て事だ! 俺は眠っている相手に……しかも鈴音相手にキスしようとするなんて!
バチンと自分の頬を叩いて戒め、鈴音に置き手紙をするとマンションを後にした――
19時――
会社を出ると言葉が口をついて出てしまった。
「鈴音の奴……大丈夫かな…‥?」
今日は1日鈴音の事が気がかりでならなかった。
「退院してきたばかりだから部屋にいるとは思うが……」
よし、電話かけてみるか。俺はカバンからスマホを取り出すと鈴音の番号をタップした。
トゥルルルルル……
トゥルルルルル……
「おかしい……? 何で出ないんだ……?」
12回もコール音を鳴らしているのに一向に鈴音が電話に出る気配がない。
ピッ
一度電話を切った。まさか鈴音の身に何かあったんじゃ……?
途端にどうしようもない不安で心が押しつぶされそうになる。鈴音……っ! 俺は再度スマホをタップした――
****
「くそっ! 川口の奴……!」
怒りのあまり、思わずスマホを道路に叩きつけそうになり……踏みとどまった。まさか鈴音が川口と一緒にいるとは思わなかった。2人で飯を食べていたなんて。しかもその話を鈴音からスマホを横取りして川口自らの口で聞かされるとは屈辱以外の何ものでもない。こうなったら直接鈴音のマンションへ行ってやる。待ち伏せして鈴音を問い詰めてやるんだ。俺があれ程忠告してやったのに川口と一緒にいるなんて、とうてい許されるはずがない。
俺は急ぎ足で駅に向かった――
「何してるんだよ?」
マンション前で待っていると、鈴音が川口に肩を抱かれて戻ってきた。
「え? りょ……亮平……?」
鈴音は大きな目を見開いて俺を見ている。一方の川口は涼しい目で俺を見てた。その余裕の素振りがますます俺の神経を逆なでする。
「おい、お前……性懲りも無く……鈴音から離れろよ」
「……」
なのに川口の奴は返事もせずにますます鈴音の肩を引き寄せた。まるで鈴音を抱きしめているような仕草にカッとなった。
「お前……鈴音は病み上がりなんだ。勝手に連れ出すんじゃない」
俺の言葉に流石にまずいと思ったのか川口が鈴音の肩から手を離した。
「鈴音、こっちに来い」
腕を掴んで引き寄せると川口が俺を咎めてきた。
「おい! 乱暴に腕を掴むなっ!」
何だってっ!? お前に言われる筋合いは……。しかし鈴音の顔を見てハッとなった。その顔は痛みの為か歪んでいた。
「悪い」
腕を掴む力を緩めた後、その後も3人で外で押し問答が繰り広げられ……ついに川口が鈴音に告白した。
「加藤さん、俺は加藤さんの事が好きだ。ずっとそばにいたい。……俺と付き合ってくれないか?」
突然の告白に鈴音は戸惑い、俺は怒りがこみ上げてきた。しかし鈴音はその告白を断り、更に俺にも言った。
「亮平……亮平はお姉ちゃんの恋人なんだから私には構わないで。お姉ちゃんの話しなら笠井先生から聞くから」
そして鈴音は逃げるように俺と川口を残して、マンションへ駆け込んでしまった――